巷説に“クダン”というフォークロア(都市伝説)が広まっていた。
曰く、クダンは西洋の喪服を着た女の姿をし、右手首はなく、素顔を黒いヴェールで隠している。
曰く、クダンを目にしてしまった者の元へ、七日のときを掛け近づき“災いの予言”をするという……。
16歳の少女、九段朔夜は奇縁から料理教室講師である志摩塔子という女性と出逢い――ふれ合ううちに仄かな想いを募らせていく。
しかし、災厄を予言する“クダン”を塔子が目にしたことで、穏やかだった日常は狂いだしていった。
刻一刻と近づくクダン。朔夜は彼女を守るために奔走し、対抗する手段を得ようとする。
そして己の学校、《九段女子高等学校》にフォークロアを研究する部が在ることを識った。
神秘学研究会の戸を叩き、会の長である春夏冬小兎とともに朔夜は大切な人を守るためフォークロア(未知)に挑む――――。
《3つの“クダン”が貴方を待つ》
1つ目のクダン:巷で話題のフォークロア 《クダン》
西洋の喪服を纏い、視た者へ災いの予言をする怪異。
物語の軸となる始まりのクダン。
2つ目のクダン:登場人物が生活する土地 《東京都千代田区九段(北・南)》
主人公たちが物語を動かす舞台が、千代田区九段周辺で描かれます。
主に舞台となる場は“九段女子高等学校”“九段坂公園”
“駅周辺”など。
3つ目のクダン:主人公 《九段朔夜》
本作の主人公である九段朔夜。奇しくも怪異と同じクダンの姓を持つ。
始まりは幼い頃から繰り返し観る悪夢だったが、その悪夢は別の形を
借りてフォークロアとなり、九段朔夜の前に立ちはだかる。
怪異であるクダンとも浅からぬ因縁を持つことを後に知る事となる。
《運命を避けようとした道で、運命に出逢う》
主人公である九段朔夜は、いつも自分から手に入れたいと思うものは決して手に入らず、
これは自分の縁とは程遠いものだと判断したものほど、後の人生に深く関わることが運命付けられていた。
そして、避けようとした道で出逢ったのが、志摩塔子であり――自分から運命を選び縁を結んだのは、春夏冬小兎であった。
フォークロアにまつわる謎の中で、彼女たちは何を掴み何を得るのか――……。
《夕暮れと触れられたくない過去を持つ少女たち》
怪異は逢魔が時に起きる。
それぞれが持つ、忌まわしい過去を乗り越え成長していく少女たち