紅殻町博物誌
「霞外籠逗留記」で幻想と耽美の極致を描いた“raiL-sof”第二弾! 昔の人が夢想した「珍奇物品」が残存、製造される不思議な土地「紅殻町」。フィールドワークに入った主人公が体験する、謎と不思議! 酩酊感たっぷりな洒脱で落ち着いた、大人のおとぎ話が始まる!
紅花を醸して造られた「紅酒」。鉱物の雲母片を使って作った書物を扱っていたらしい「雲母書房」。煙草に仕込むと阿片がごとき酩酊を得られる「万能星片」――。他にも「蝙蝠硝子」「遊星キネマ装置」「尖晶石式睡眠燈」等々……。これらのモノは現代科学とは違う起源に根ざした技術で開発製造されていた。1900年代から1930年代終盤まで、実際に市場に出回り、人々の手で消費されてきた珍妙な製品。庶民が『こんなものがあったら面白くて、便利なのに……』といった夢想を、そのままカタチにしたような品々。それは何故? 何の為に? 誰が造り、伝えてきた? これら「珍奇物品」を研究し、その製造元をたどった郷土史家がいた。それが主人公の行方不明になった叔父だった。主人公は大学の研究室で偶然叔父の記したノートを発見。そこには、常識はずれの物品の図録や、突飛な項目、不完全な記述が溢れていた。それら「珍奇物品」の流通をたどると、不思議なことにほとんどが「紅殻町」という地名にたどり着く。主人公はノートの記述をひもとくうちに「紅殻町」に、子供の頃に訪れたおぼろげな記憶の街並みと同じ匂いを感じる。山形の祖父母の家に預けられていた折りに遊んだ、大人たちの記憶に見当たらない、二度と行くことのできない思い出の街並み…。もしかしたら、そこが「紅殻町」なのかも知れない。主人公は今では記憶もあやふやなその町への郷愁も手伝い、手記に書かれた事柄へ強く興味を抱くようになる。幸い学校は長い夏期休暇も近く、時間はたっぷりある。叔父の手記の不明部分を埋める、とまではいかないかもしれないが、なんらかの発見があるかも知れないと、ついに主人公は帰省することにする――。
ノベルゲームの心臓である「物語の楽しみ」に徹底的にこだわり抜く“raiL-soft”第二弾! 前作「霞外籠逗留記」において緻密かつ芳醇な耽美と幻想でプレイヤーを酔わせたシナリオライター“希”が挑戦する新たなノベルゲームの地平! 今度の仕掛けは「フューチャーレトロ」。古い時代の人々が「こうだったらいいなぁ」と夢想したモノや技術と、現代の状況を比較して楽しむ一種の懐古主義のことだ。本作では1900年初頭の「珍奇物品」が様々に登場。現代ではインチキ、紛い物と揶揄されるこれらの物品が、何故かその“ありえない機能”が効力を持って存在する「紅殻町」。社会と隔絶したこの町を舞台に、“現実に近いが、ちょっとずれた奇妙な物語”が展開する。今回は大正期の探偵小説のような趣のある語り口が特徴。小気味よいペダンチックさと、聖俗入り混じった幻想性で、プレイヤーの知的好奇心を緩やかに陶酔の渦に滑り込ませていく。また原画家“天原埜乃”の手によるエロティックな濡れ場も、むせ返るような官能性を発露。本作ならではの濃厚なシーンを期待できるぞ。
「霞外籠逗留記」においても好評だった「V=R(ヴァリアブルリード)システム」を今回も搭載! 文字組の縦横、表示サイズ、表示位置、文字種類、文字影の有無、既読文章をトーンダウンするかどうかなどを、ユーザーが自由に選択。プレイ中にいつでも変更可能なので、アナタがもっとも読みやすい、遊びやすい表示をじっくりと設定していける。こういったカスタマイズで目新しいのが、立ち絵の位置までも変更可能になっていること。見易い位置に移動させて、物語を読むことに集中しよう!
ショップ店頭で、もしくはファンクラブ会員のみが入手可能だった幻の小説「紙の体験版・紅殻町博物誌」。“raiL-soft”のプライベートレーベル「レイル文庫」の創刊第一作として配布を開始した途端、その緻密で幻惑的筆致から評判を呼んだ話題作を、今回なんと電子書籍化して同梱! この小説は明治、大正期の古色蒼然とした文体を織り込んだ「擬古スタイル」を駆使して執筆されており、読み手に時代感覚を忘我させるような味わいを持っている。もともと発行部数が少なく、ファンの間で“一人一冊”の原則が守られてきた超レアな作品だけに、今回の電子書籍化はまさに朗報! ぜひともこの機会に、ゲームと合わせて楽しんでほしい1冊だ。 十湖の隣で、宮里は半鐘台(はんしょうだい)の物見櫓(ものみやぐら)の、手摺りに凭(もた)れて眼下を眺めた。他に高い建物とてなく、視界は遮られることなく伸びて、蔵町の土蔵の瓦、煉瓦の倉庫のスレートの屋根の連なりを越え、本町の町屋の密集したるまで届く。宇木登(きのぼり)、通称蔵町の半鐘台(はんしょうだい)だ。紅殻町の中でも、赤煉瓦の倉庫と白壁の蔵が建ち並ぶ、どこか小樽、横浜の倉庫通りと、越戸川越、蔵の町が混淆(こんこう)したような景観の区画の、その片隅で。 二人が上がった半鐘台(はんしょうだい)は、先日宮里青年が散策の折に見かけ、近くに寄ってみようかと目論んだものの途中で道に迷い、そしてエミリアという外人娘と出会ったのだがその際にも一悶着もあって有耶無耶(うやむや)に、沙汰止(さたや)みになっていたあの半鐘台である。――――(「紙の体験版・紅殻町博物誌」より) キャラクター紹介
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